ネコタ 01
断面大好き小池さん

白・茶・白・茶
白・茶・白・茶
札幌では毎年たくさんの雪が降ります。車道の雪は歩道側に、歩道の雪は車道側に追いやられます。結果、車道と歩道の間には大きな雪の山脈が作らます。そのままでは、車にとっても歩行者にとっても邪魔なだけですので、深夜に市から委託された除雪業者の方が、歩道と車道の間にできた雪の山を崩して、雪捨て場に捨ててくれます。

除雪の際には、車道・歩道の区別無く山をそのままそっくり削って持って行ってくれる場合と、車道側の雪だけを削って行く場合とがあります。後者の場合には、歩道と車道の境目で山を半分に削るため、雪山の断面を見ることができます。雪山の断面なんてただの雪の塊だろうと思われるかもしれませんが、これが雪山ができてから今日に至るまでの短い歴史を反映していて、(人によっては)それなりに楽しいのです。今日はそんなどうでも良い断面の世界を皆様にご紹介します。なおタイトルの小池さんは栄子さんとは関係ありません。

(元町二十四軒)

歩道と車道の境界
歩道と車道の境界
(マウスオーバーで図解が表示されます)
断面はどのくらい断面か
雪山が削られてその断面を露わにする理由については、先ほど述べたとおり「車道側の雪だけを除雪するから」なのですが、具体的にどれほどの断面具合なのかは、見たことがない方には今ひとつ解りにくいのではないかと思われます。そこで、断面を見る前に、雪山を横から見た写真をごらん頂きたいのですが、なんせ雪なもんで白ばかりで見えにくいと思い補助線を入れてみました。マウスオーバーで見えるはずです(見えない場合は写真をクリックしてください)。はっきりと壁のように斬られているのがお分かり頂けるかと思います。


末期に向かう断面
末期に向かう断面
断面はどのいつまで断面か
断面の寿命は天候に左右されます。断面は降雪による山の再形成、気温の上昇による山の崩壊など様々な理由により破壊されます。例えば、この写真の右側を見ると、切断後に降った雪が自重で崩れてきて断面の上半分を隠そうとしているのがお解りかと思います。また、今回サンプルが見つからず撮影出来ませんでしたが、切断後に日を置かず大量の雪が降った場合は、車道側の雪が押しつけられ、断面が下から隠されていく場合もあります。


雪層はどうやってできるのか
そもそも雪山の中にどうして地層みたいな縞が潜んでいるのか?この点については、中々説明が難しいので、雪層(地層からの連想で急遽名づけました。一般にこう呼ばれてるわけではありません)ができる過程を図にしてみました。これなら言葉で説明したほうが良かったような気がしますが、我慢してご覧ください。

マメちしき


断面に歴史あり
断面に歴史あり(マウスオーバーで拡大されます)


本当に汚い
汚い部分は本当に汚い
断面に現れる歴史
それでは、実際のケースを見てみましょう。この写真は、近所の駐車場前で撮影しました。マウスオーバーで赤枠部分が拡大されますので併せてご覧ください。この雪層では上方の茶色い部分が特徴的です。そのすぐ下の層は薄くて白いのでサラサラの雪が短期間で固まったものと思われます。一方、茶色の層はそれからあまり間を置かずに雨混じりの雪が大量に降り、一度路面が露出したため路面の汚れを吸って、このように汚くなったのではないかと推測されます。また、下のほうに行くほど薄い層が多くなっています。これは雪山の重みで圧縮されたためではないかと思われます。

あ、いまさらながらお断りしておきますが、本頁の説明は全て素人考えで推測した結果ですので、真偽の程に関してはあまり期待をしないようお願い致します。

下の写真は場所は若干違いますが、茶色い層をアップで写したものです。汚れを吸って本格的に汚くなっていることがお分かり頂けるかと思います。また、茶色い層の中に白い部分がマーブル状に散在している場合がありますが、これは数cmから数十cmの雪礫が層の中に含まれているためと思われます。


ぐっとくるカーブ
ぐっとくるカーブ

鑑賞のポイント
雪層観察の際は、上述のようにどのような気候の変化があったか推測するだけではなく、形状の変化を鑑賞するという楽しみもあります。今回は残念ながら、面白みのある形状はこれ一枚でした。白い層に挟まれた複数の薄い茶色の層、更にそれらが上下の茶色い層で捻じ曲げられているあたりなんか、ぐっときませんか?すみません、無理やり自分を鼓舞してみました。そんな大げさなものじゃないような気がします。
いかがでしたでしょうか?日頃見慣れた(見慣れてない方も多いと思いますが)雪山の断面もじっくり眺めてみるとそれなりに楽しめるのではないかと思います。豪雪と闘う百万都市札幌の現在の姿がそこには凝縮されているかのようです。すみません、また適当な事を言いました。

ぐっとくる形
ぐっとくる形
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