ネコタ 07
伊達眼鏡かけ放題

視力の悪い人が集まると何故か視力(の悪さ)自慢が始まります。うっかり、「私は極度の近眼で左右とも0.2ないんです」などと言おう物なら、すぐに「そんなのはまだました、俺なんて0の数が…」とか「いやいや、そのくらい私に比べたらサンコンさんと…」という反応が返ってきます。どうしてでしょうね。

私は小学5年生あたりから視力が落ち始め、高校に入る頃には0.1を切っていました。もちろん、眼鏡が無いと日常生活をまともに送ることができません。一時はコンタクトレンズの使用も考えたのですが、堪え性がないのか異物感に慣れることができず、すぐに止めてしまいました。視力が0.1ないと眼鏡を作る際も、折角デザインの良いフレームを選んだというのに、レンズが厚くなって不格好になるか、厚くならない高価なレンズを使うかの選択を迫られます。また、温泉に入るとき不自由する、スポーツの邪魔になる、朝起きて見つからないとパニックになる等、デメリットはここで挙げるまでもなく数多くあります。

すみません。前置きが長くなりましたが、今回は眼鏡への歪んだ愛情が原因で、かなり遠くまで旅をしてしまいました。ご覧ください。

(元町二十四軒)

眼鏡達
眼鏡達
眼鏡は好き
冒頭で愚痴を言いましたが、眼鏡自体は嫌いではありません。というかこんなページをつくるくらい好きです。本当なら中尾彬さんみたいにたくさんの眼鏡を持ちたいのですが、先程述べた理由によりそう簡単に作るわけにはいきません。「眼鏡の不自由さから解放されたい。でも、いろんな眼鏡を楽しみたい」そんなわがままな願望を満たすべく、たどり着いた結論はこれです。

「だったら目が良くなればよいではないか」

そうです。視力が良くなれば、眼鏡使用に伴う不自由が解消される上に、普段は伊達眼鏡がかけ放題になります。

そうは言っても
「それができねば苦労しないよ」というのはごもっともな意見です。近視を治す方法に関する広告は昔からいろいろとありましたが、これらの方法については私も懐疑的でした。そのせいか、記事や体験談があっても、自分には関係ない世界の話として、興味を持つことなく読み飛ばして来ました。子供の頃に漫画雑誌で見た広告が怪しいものだったせいかもしれません。

きっかけ
ところが、今年(2006年)になってから2人の方が視力回復の手術を受けたという話を聞き、興味を持つようになりました。一人は直接知ってる知人で、もう一人は知り合いではないのですが、株式会社はてなの社長の近藤氏です。特に近藤氏の場合は手術に至る過程をブログで公開し、そればかりか手術の樣子を録音してポッドキャスティングで配信までしています。この情報は私に大きな変換をもたらしました。すぐにネットで情報を集め、その週のうちに検査の予約をしました。

手術までの大まかな流れ
残念ながら詳細については書くことができないのですが、手術に至るまでの流れは以下のようなものでした。
  • 手術の内容に関するレクチャを受け、質疑応答
  • 各種検査
  • 医師による手術の可/不可の判定と問診
  • 手術日決定
これらの過程に要した期間は、私の場合は約2週間ほどでした。期間や費用については、医療機関によって違いがありますので、事前に調査して比較検討をすることをお勧めします。

レーシックについて
私が受けた手術は、レーシックと呼ばれる方法です。以下の記述は、あくまで「素人の雑な説明」としてお読みください。

レーシックとは乱暴に言うと「角膜の表面をレーザーで薄く剥がし、露出した面をレーザーで削って、また表層部分をかぶせる」という術式です。視力が回復する原理やメリット/デメリットについての説明は、私の本分ではないので避けますが、興味のあるかたは「レーシック」または「LASIK」で検索すると丁寧に解説したサイトが多数見つかりますので(私もお世話になりました)そちらをご覧ください。

雑な説明

雑な説明

どうでも良い話をします
良く解る眼鏡世界観
左の図をご覧ください。「良く解る眼鏡世界観」です。この表では、視力の善し悪し・眼鏡の有無により世界を4つのグループに分けています。
眼鏡への道
眼鏡をかけている人の大多数は、この図のAからDへの移住をしたことになります。コンタクトレンズの低価格化が進んだ現在では、眼鏡を経験せずに、いきなりA→Cという人の割合も高くなってきたと思います。
A-B
ところで、良好な視力をずっと維持している人は、AとBを比較的自由に行き来することができます。ほとんどの人はAに留まっていると思いますが、昨今の眼鏡ブームにより、ABの両方を楽しむ人が増えてきているのではないかと思われます。
C-D
そうでない人の場合、DからCに行くためにコンタクトレンズ(または無茶)という手段が必要となります。A−B間の移動のように簡単ではありません。この大きな山を越えないと眼鏡−非眼鏡世界を行き来する事ができません。
新しい眼鏡への道
重要なのは非眼鏡に所属することではなく、気楽に行き来することなのです。私がレーシックを受けたのは「CとDの間に横たわる山を越えることで、眼鏡−非眼鏡世界を行き来する」という方法論から脱却し「A−Bワールドに移籍して、眼鏡−非眼鏡世界を行き来する」という方法論への転換を図るためであると言っても良いでしょう。


自分でも変なこと言ってるなと思いますので、そろそろ本題に戻ります。

手術当日
当日の内容に関してもあまり詳しいことをかけませんので、感想を箇条書きに書くことにします。雰囲気のみお伝えできればと思います。
  • 再度、何項目かの検査を受けました。前回の試験項目の確認かと思われます。
  • 説明は何度も行われ、問診も最後にもう一度ありました。このため、治療の内容に関して、気持ちの準備がすっかり出来た状態で待つことが出来ました。
  • 服はそのままで上から手術着を着て、頭に手術帽(?)を被りました。
  • 何種類かの目薬をいろんな段階で点眼してもらいました。
  • 最初の蓋を作る段階では、装置を目にセットする瞬間に最も変な感触があります。ただし痛みはありません。蓋を作る工程は正味3分ほどで終了します。
  • 蓋が出来たら、一度待合室に行って(注意して歩く分には支障ない程度に見えます)蓋が落ち着くまで、しばらく待ちます。「今、角膜の表面が浮いてるんだ」と不思議な気分でした。
  • 最も重要な工程である表面をレーザーで削る際には、蓋を開けたり洗ったりレーザーを当てたり蓋を被せたりする様子が見えます。これは多分一生で何度もしない体験でです。もの凄く緊張しつつ「今の俺、面白れー」と思うと笑い出しそうになりました。
  • 表面を削る工程も数分で終了します。薄目を空けて待合室まで歩きます。
  • その後、手術した部分を養生するためしばらく目を閉じたまま待ち、問診をして終了となります。
  • この時点では、手術前よりは良くなっているけど、近くも遠くもはっきり見えるという程ではありません。
術後の変化
治療が終わった後で、蓋の痕跡等の違いが解るかもしれないと思い、目の写真を撮ってみました。比較のために撮っておいた前日の写真と比べても違いがわかりません。
前日の目
術後の目
肝心の治療効果ですが、約10時間後の現在、裸眼でも暮らせる程度に見えてます(下の写真は見え方のイメージ)。具体的には、食事をしたりテレビを見たりするのには何の支障も無いレベルに達しています。視力が安定するにはもう少し時間がかかるとのことですので、今後何度か通院して経過を確認する必要があります。
見え方の変化(イメージ)
before
これが
after
こうなった感じ
また、本やPCなど近くの物を見る場合には遠視用の眼鏡が必要になります。今までは、近視用の凹レンズで小さく見えてたものが、今度は凸レンズで大きく見えるようになったので画面がやたらと大きく見えます。

最後に
今こうして、裸眼で暮らすことができるようになって私自身は大いに喜んでいるわけですが、視力回復手術にはリスクが伴うことも書いておかなければなりません。しつこいようですが、こちらも素人が受け売りで書いてます。誤解、曲解があるかもしれませんので、ご了承ください。

1) 100%安全確実な訳ではない
これは、全ての治療にいえることだと思います。安全性が高いと言われてる手術も例外ではありません。また、治療効果に関しても全ての人に保証されている訳ではありません。どのようなリスクがどのくらいあるのか、納得が行くまで説明を聞くことが重要だと思います。もちろん、私も説明を聞いて納得したので治療を受けました。

2) 後遺症について
治療後にはグレア(夜間に光がぎらついて見えること)ハロ(夜間に点光源に傘がかかって見えること)、ドライアイといった後遺症が発生する場合があります。この点についても事前に納得した上で治療を受けることをお勧めします。

グレアとハロ(イメージ)
グレア
グレア(車のライト等)
ハロ
ハロ(LED式の信号等)

3) 費用
私の場合、通常より高額な費用がかかりました(50万〜100万円の間)。治療にかかる費用を高いと思うか安いと思うかは、まさに人それぞれでしょう。例えば、私はこの額を高くないと思いますが(さすがに「安い」とは…)、その一方で自動車に2百万も使う人の金銭感覚が全く理解できません。

冒頭にも書きましたが、度の強い眼鏡/コンタクトレンズを使っている人は「自分は特に悪いから」とか「それは普通の人の場合でしょ、私はすごく悪いから」と思う傾向があるような気がします。まずは、そこから疑ってみてはいかがでしょうか。


伊達眼鏡はこれから

レーシックに興味を持ってから1ヶ月弱、治療が終わりました。今後少しずつ、今持ってる眼鏡のレンズを度無しのものに代えたり、新しい(伊達)眼鏡を買おうと思います。

サングラス
まずは1個買ったよ
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