ネコタ 08
石油タンク2006

マメ君、オリジナリティってなんだと思う?
持ってる人は口にすることが滅多にないけど、持ってない人はよく使う言葉じゃないかな。
僕が訊きたいのはそんなシニカルな答えじゃないよ。
悪かった。シニカルな言葉を喜ぶのは言った当人と野次馬だけだ。
無駄口を叩いてる暇があったら何か良い意見を聞かせてくれないかい?
じゃあ逆に訊くけど、オリジナリティを望んでる?
そりゃもちろんだ。オリジナリティには大きな価値があるからね。
本当にそうかな。独創的であるだけなら誰にでも出来るんじゃないかな。昔ある人が「毎日ヤカンを持ってあるけば、誰もがその人を独創的だと認めてくれるだろう」と書いてたけど、まさにその通りだと思う。
確かにそうだけど…。
その価値を認める人が現れるまでは、オリジナリティそのものには大した価値は無いと思う。
だったら、価値を認めてもらうにはどうしたら良いと思う?
だから、その発想が貧困だと言ってるんだ。認めてもらうのを待つなんて面倒な事はやめて、認める側に回れば良いではないか。
良く意味が解らないな。結局どうすれば良いの?
例えば、自分が独創的だと思ったものを真似てみるというのも、その価値を認める行為の一環と言って良いだろう。
確かに価値のない物を真似てみようとは思わないからな。
つまり、真に独創的なのはそれを最初に考えた者ではなく、その価値を認め模倣した者だと言っても良いと思わないか?
なるほど、どこか割り切れないけどそんな気がしてきた。やってみるよ!

すみません。途方もなく長い前置きで始まりました。今回はタイトル通り石油タンクの写真を並べてあれこれ鑑賞してみようという企画です。タイトルは「石油タンクを鑑賞する」とどちらにするか迷いましたが、よりオリジナリティを欠いている方を選択しました。近所で済ませた中途半端なフィールドワークの成果をお楽しみください。(元町二十四軒)

これが石油タンク
これが石油タンク
鑑賞ポイント
鑑賞ポイント
石油タンクとは?
寒冷地では、多くの一戸建ての家の庭に暖房用のタンクが設置されています。ガスや電気の暖房を取り入れている家もありますが、主流は石油暖房のようです。今日はこの石油タンクを無理に鑑賞してみます。

とは言え、単純そうに見える石油タンクですがちょっと考えただけでも、
  1. 空気抜きの形状
  2. 残量表示計の佇まい
  3. タンク本体の色・形
  4. 脚の形状
  5. コイル状部分の巻き具合
と、数多くの鑑賞のポイントを挙げることが出来ます。今回はその中でも「タンク表面の模様」にスポットを当てて比較検討をしてみようと思います。

八十八
八十八 昔からある凸型模様で、米の字に似ていることから八十八と名付けられました(私に)。左の写真のような古い石油タンクのほとんどがこの模様でした。もちろん今でも現役で、新しい物件にも使用されています。

タンクの形状は直方体に近く、中央のヘリの部分に脚が取り付けられています。脚の形状は、逆Y字型ばかりのようです。
一囲い
一囲い 観測数はそれほど多くないのですが、シンプルで親しみ易い形状の凹型模様です。タンク形状や脚は、八十八と同様ですが、上部についてる逆J字の管が長いのが特徴的です。
二囲い
二囲い 一囲いとほぼ同様ですが、中央部分が二の字になっている点のみ異なります。調査した範囲では写真の物件しか見つかりませんでした。遠い上に障害物が多くて見づらい写真となってしまいましたが、右の写真のように確かに二の字を囲うような形状となっています。
三つ六
三つ六 細長い六角形の両端に2つの正六角形がついた形状の凹型の模様です。この模様がついたタンクは、八角柱に近い形をしています。脚は、逆Y字型のみのようです。
馬蹄
馬蹄 Uの字を向かい合わせた形の凸型模様です。正確にはUの字は馬蹄形では無いのですが、他に合わせて無理に漢字の名前を付けました。この模様を持つタンクは小判のような形をしています。脚の形状は逆Y字だけではなくh字型の物もありました。他のタンクより薄いため、このタンク+h字の脚の組み合わせは狭い場所に設置するのに向いています。
迷宮
迷図 迷路のように複雑な形状の凹型模様です。たまたま近所に少ないだけかもしれませんが、私が観測できたのは1例だけでした。模様は複雑ですが、他に特徴は特に見あたりませんでした。
鼻紙函 上から見たティッシュの箱のような形の凸型模様です。これも一例しか観測できませんでした。写真の物件は数字が振られてて格好良いです。
双亜鈴
双亜鈴 鉄アレイを2つ重ねた形状の準凸型模様です。今回観測された中で唯一、凹凸両方を兼ね備えた模様となりました。このタイプのタンクは、標準的な厚さのもの(写真左)と薄型(同右)の2種類があるようです。
四つ窓
四つ窓 近年最も多くみられるタイプの石油タンクで、先に挙げた鼻紙函の中央に十字の切れ目を入れたような形状を持つ凹型の模様です。こちらも、上の例と同様に薄型タイプも用意されているようで様々な場所に設置されています。また、色のバリエーションが豊富なのか、右の写真のように壁の色との調和を考慮した選択ができるようです。
円環
円環 側面ではなく両端に付けられた円形の凸模様で、円柱型のタンクに見られます。比較的大きなサイズのため、個人宅よりは事務所や学校等の施設で見かけることが多いです。タンク形状と重量から脚は四本あり、補強が付けられています。
太陽
太陽 同じく円柱状の大型タンクに付けられている凹型模様です。中央の円の部分が若干盛り上がってるのは意匠なのか、強度を考慮しての設計なのか、特に意味はないのかが気になりました。
虚無 全く模様のないものもありました。古い物件に多く、下の写真のように年期の入ったものがほとんどでした。
その他 模様に関する分類はここまでですが、他にも気になった石油タンクがあったのでご紹介します。

三連

管が三本

かっこいいタンク

球形
最後の球形の物件は、最近見かけることが少なくなったタイプの石油タンクです。丸く抜いてある脚の形状や、頭頂部に集まった、空気抜き・残量計・注油口の佇まい等、素敵なデザインだと思うのですが、残念です。


マメ君、ありがとう。おかげで、気兼ねなく真似ることが出来たよ。
いや、少しは節操を持った方が良いと思う。
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