ネコタ 10
惜しもう、日本最小の観覧車

先日、出張の帰りに乗ったエアドゥの機内誌ラポラを読んでいたら、小樽市にある小さな観覧車を紹介した記事がありました。記事によるとその観覧車は、

「日本一小さい観覧車らしい(諸説あり)」
「職員の方がゴンドラに描いた絵が良い味を出している」
「公園のリニューアルによって今年中には無くなってしまう」

とのことです。私の家は小樽のすぐ近くということもあり、行ってみることにしました。
(元町二十四軒)

 
外の看板
最初に謝っておきます
正直に告白しますと、実物を見に行く前はこの観覧車を「レトロな味わい」「手作りの素朴さ」のような、悪く言えばちょっと上からの目線で、哀愁を交えつつも冷静な語り口で面白く紹介しようと思っていました。だって、昔は賑わっていた公園の老朽化した施設に素朴なタッチのイラストが描いてあるんですよ。普通、笑うか泣くかしかないじゃないですか。
案内図
遊園地のご紹介
話が前後しました。(多分)日本一小さな観覧車は、小樽公園内のこどもの国という遊園地にあります。近くには小樽市役所、市民会館、図書館があり、JR小樽駅からも歩いて行ける場所にあります。札幌から行くのであれば、小樽行きのバス(高速おたる号)に乗って「花園公園通」で降りるとすぐ近くです。 開演当初は大人気の遊園地だったらしいのですが、今は案内の看板も少ないせいか、それほど多くの人に知られている訳でもなさそうです。現に同行した妻は学生時にすぐ近所に住んでいたのにその存在を全く知りませんでした。
ナイス入り口
入り口
まず最初に目を引かれたのがこのゲートです。おなじみの植木職人のおじさんと未来から来た猫型ロボットが快く出迎えてくれました。特に「こどもの国」の書き文字には、媚びも気負いも照れもなく「遊んで行きなよ」と呼びかけてもらっているような楽しい気持ちになりました。斜めから見ようとしてた小者の気持ちを余裕でふっ飛ばす懐の深さを感じます。
(おじさんと猫型ロボット)
やすんでます
手作り感ありすぎ
好きにやってますから
寂しい動物園
北海道で動物園と言えば旭川の旭山動物園が有名ですが、ここ小樽公園こどもの国にもミニ動物園があります。昔はもう少し居たのかもしれませんが、今はヤギと数種類の鳥が居るだけの寂しい動物園です(でも、手作り感では負けていません)。動物たちは動物園の規模とか観客数に関係なく気楽に過ごしているようです。


なんてことを思いつつ、ふと後ろを振り返ると…見えました例の観覧車です。
あれだ
あれだ!


170 x 3.5
小さいよ


写真で知っていたとは言え、実物を見ると本当に小さい。左側に移っている私の身長(170cm)から大雑把に見積もって6mといったところでしょうか。この小さな観覧車に4人乗りのゴンドラが6器ついています。4人乗りとは言っても大人2人でかなり窮屈な大きさ、よく言えば仲の良い人と乗るには丁度良いサイズです。加えて一人60円とかなりお得な料金が魅力的です(11枚つづりで300円の回数券だと更にお得)。
内側はこんな感じ
骨組み


楽しいよ
ゴンドラの中も外見に負けず年季が入った作りになっています。このゴンドラが小さく揺れながら、経験したことのない感触でゆっくりと上がっていきます。高さ6mとは言え丘の上に立つ観覧車からは、小樽の街並みを充分に楽しむことができました。迂闊にも測るのを忘れてしまいましたが、1周するのにかかる時間は4分ほどだったと思います。
愉快だよ
この観覧車についてご報告するからには、ゴンドラに描かれたイラストについて触れない訳にはいきません。とにかく見てみてください。 勝手な思い入れかもしれませんが、上手とか下手とかじゃなくて、最大限のサービス精神とおもてなしの気持ちが込められたピースフルな絵だと思いました。







観覧車は小さいけど眺めは良いですよ
惜しくも10月まで
この遊園地は残念ながら小樽市が進める再開発により、惜しくも今年の10月で閉園となってしまいます。古くなったものが消えて行くのは仕方がないこととは言え、この観覧車だけは残せないものなのかなぁなどと無責任な事を考えてみました。いや、新しくきれいな遊園地でこの観覧車だけがポツンと取り残されるのも何だか気の毒です。せめてこの手作り感だけでも新しい遊園地に引き継がれることを願ってやみません。そして、ここを訪れた一人としてこの観覧車のことを記憶に留めておくことにします。



同じ日に小樽で乗った大きな観覧車(2人で1200円)。 きれいで、眺めも良くて、ゆっくり乗れるけど 私は丘の上の小さな観覧車の方が好きですよ。
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